しかし、ムキになった瞳真を面白がっているのか、蓑島くんの不敵な笑みは崩れず。
また笑っていた。
よく笑うなぁ…。
「…俺、おまえって名前じゃないんだよねー?」
「はぁっ?!」
「ミスター星天高校!ミスター蓑島様と呼んで下さい?…三位の水口くん?」
「…おまえコラァァッ!」
ひぃぃっ!だ、ダメそれは!
瞳真、ミスコンの話をすると怒るんだから!
何でそんなに地雷踏むの!
ミスター蓑島様?…ふざけ過ぎてるでしょうが。
「と、瞳真!廊下行こ!…ほら!今日の練習メニューのことでしょ?!」
慌てて瞳真の背中を押して、教室から連れ出す。
すると、またしても蓑島くんのイタズラな声が聞こえる。
「ばははーい。三位の王子様?」
聞いちゃダメ!
振り返っちゃダメ!
ケンカになる!
「…ったく。俺、アイツ得意じゃねえな…」
要件の話を終えると、瞳真は窓の外を見てボソッと呟いた。
「アイツって…蓑島くん?」
その問いに、瞳真は無言で頷く。
横顔がむくれている…なんか、可愛い。
キュンとしてしまった。
さすが『王子様』と騒がれてるだけある。
「蓑島くん得意な人、そうそういないよ…あんなの聞き流しとけばいいんだよ」
「…『三位の水口』も聞き流せる?」
「瞳真は変に頭カタイんだよ。もしまた言われたら『はい!三位でーす!』って言い返すぐらいでもいいのに」
「出来ねえ…」
瞳真はうなだれてため息をついている。
…でも、得意じゃないって言うけど。
瞳真、蓑島くんと話したことあるのかな。
隣のクラスで体育の授業は一緒だから、接点はあるのか。



