早速、自分に敵意を向ける者が現れた。
覚悟していたことではあるけど、まさか…でしょ!
だ、誰!
誰よ!こんなことするのはああぁぁっ!
そのびしょ濡れとなった変わり果てた姿の上靴を手に呆然と立ち尽くす。
怒りもあるけど、とりあえず肩を落としてしまった。
ど、どうしよう…。
とりあえず、何か代わりの履き物…。
高校の名前が入ったお客様用スリッパでも借りて…。
やば。着替えもしなきゃ…。
その上靴を持ってとりあえず移動しようと、一歩踏み出した時。
「杉久保!倉庫の鍵戻ってねえぞ!早くしろ!」
…ああぁぁっ!
突然目の前に、先生!
サッカー部の顧問、糸田先生だ。
見た目がちょっと恐い、50手前のおじさん体育教師。
多少せっかちなので、戻ってこない鍵を自ら探しに来たのだろう。
倉庫の鍵は、私が持ってる。
あぁ…こんな時に、こんなタイミングで。
しかし、糸田先生は私のいつもと違う様子に気付いたのか。
私の持っていたびしょ濡れの落書きだらけな上靴を凝視している。
「…おまえ。…それどうした?」
「あ、あ…その…」



