瞬時にそう判断してしまい、咄嗟に赤紙が貼られた靴箱を背に庇うように間に割り入る。
「ああぁぁっ!な、何でもないから本当に!」
「…え?は?…何?」
「な、な、何でもないって!本当に!あ、あはは…さ、先行ってて!行ってて!」
そう言って、手でしっしっと追い払う。
もう、笑って誤魔化してしまった。
「…あ、そう」
瞳真も首を傾げながらも、私の言うとおりにして立ち去っていく。
立ち去りながらも、横目でじーっとこっちを見ている…。
な、何でこう話し掛けて欲しくないときに話し掛けてくるの。
バカップルのズベタうんこ女…これ以上変な印象を与えたくない。
瞳真の姿が完全に見えなくなるのを見送ってから、長いため息を吐く。
落ち着くと、とある疑問が浮上してきた。
それにしても…私の上靴、どこ行った?
赤紙と引き換えに、上靴の姿が消え去っている。
上靴、どこにさらわれたの?
人質…ならぬ、靴質?
自分の知識・記憶から、恋愛小説やマンガの鉄板を探る。
(…はっ!)
そして、気付いてしまった。
ま、まさか…。



