え?何?何っ?



…と、思う間もなく。


サワサワッとした感触は、上ってくる。

くすぐったくて、ビクッとしながらも。

気がつくと、蓑島くんの手が。



(ち…ちょっと!)



私の両胸を…ポロシャツの上から、わし掴みにしている!



その事態に気付いた、その瞬間。

体が意識とは別に、くすぐったさにブルッと震えてビクッとなった。




「ひゃっ!…あんっ」



え。

何か…出した事のない、変な声出た。



まさかとは言うまでもない。



「おっ。いい声してんなー?」



耳元で、囁かれる。

いたずらな悪そうな声で…。



この人、人の胸!

揉んだ…!

後ろから、わし掴みして…!



…で、私も出してしまった。

変な声…!



それ、いわゆる、感じたという…。



(………)



「…ちょっとおぉぉぉっ!!」




今度は、私のより一層の怒りの大声が。

辺りをシーンと静めた。



しかし。



「………」



目の前にいる瞳真からは、怒りの表情が消えており。

代わりに、またしても、目を見開いた驚きのポカーンとした表情で、私を見ている。



い、今の…瞳真、聞いてた?よね…?

私の感じた…ああぁぁっ!違う!変な声…!