「…って、私と蓑島くんが付き合ったところで、瞳真がぎゃふんと言うとは思わないけど…」
「ふふふ。自分の身近に普通にいた女子が、学校1のモテ男ミスターと恋仲になるのよ?それだけでもう十分ぎゃふんとするでしょ。…で、そこで悠介が奇襲をかける」
「うひひ…任せんしゃい」
「あんた、勝手に行動するんじゃないわよ?水口のぎゃふん顔、カメラに納めるんだから」
「はいはい」
奇襲?何だろう、それ。
でも…瞳真、入学してから告白されまくってたんだ。
知らなかった…。
星天高校の新しい王子様?何それ。
知らない話がいっぱいある。
関係が少しずつ修復してきたとはいえ、この知らない話は、私達の距離だ。
でも、何に関してもクールな瞳真が『部活に集中したいから』っていうのは、嬉しかったけど。
でも…やはり、私達の関係はこんなものだった。
かつて同じサッカー少年団にいた仲間。
幼なじみ。
で、今は同じ部の選手とマネージャー。
ただ、それだけの関係だった。
…でも、もう今はそれでいい。
「あ、あの…私は」
瞳真への奇襲話に、お互い怪しく笑い合っている二人だったが。
私が口を開くと、笑うのをやめてこっちを見た。
…これからのために。
私は瞳真へのこの『想い』だけを捨てる。



