「黙っている所をみると、何かあるんだね?」

ここでは言えない。

「な、ないです。フランス語が出来る事を隠してたのは、すみませんでした。子供の頃にフランスで暮らしてたので、話が出来るだけなんです。それをいかにも出来るとは言いたくなかったんです。どちらかと言うと、英文科卒だから、英語の方をみてもらいたかったんです」

こんな言い分が、この室長に通じる訳がないと思いながら話した。

「そんな事で納得出来るとでも?」

…無理か、当たり前か…

「本当なんです。フランス語が出来るなんて、思われて目立ちたくなかったんです」

「ほぅ、そうですか」

しまった。
目立ちたくない、なんてそんな事を言ったら不思議に思われてしまう…

「目立ちたくない、それが理由ですか…」

「あ、あの…」

「今は目立ってるけど、いいのかな?」

「…だから、断ったじゃないですか、でも拒否は出来ないって…」

「フフッ、そうだったね。これからもっと目立つけど、大丈夫かな?」

「え?それはどう言う意味、ですか」

「これから、分かるよ」

戸惑う私に、微笑みながら室長は楽しくなるぞ、って言っていた。

どうなるんだろう、私。