「うーん、よく寝た」

1年振りに帰ってきた、実家の自分の部屋でよく寝た私。
母と夜に話が出来た。

わだかまりがなくなったなら、帰ってきてもいいかなと思っていた。

「おはよう」

「あ、お父さん。おはようございます」

「そんなに緊張しなくてもいいだろう?親子だぞ?」

「無理、です…いつでも緊張はします」

「ハハッ、そうか?いつまでいるつもりだ?ずっといるのか?」

「いえ、2、3日したら帰ろうと思ってます。また落ち着いたら帰ってこようかな、と」

「そうか。無理はするなよ」

「はい!」

仕事してるみたいな感覚。
なかなか、この感じが抜けないな、そんな事を思っていると、兄が部屋から出てきた。

「おはよう、お前、今日暇だろ?ちょっと手伝って欲しいんだ。いいか?」

嫌な予感しかしない…
兄の手伝ってほしいんだ、にいつも騙されてた事を。

多分顔に出てた、はず…

「顔に出てるぞ、それで秘書やってたのか?」

「うっ、だって兄さんの手伝って欲しいっていつも、手伝うレベルじゃないし」

「当たり前だろ。いいな、手伝え」

「えぇ!」

やられた。
そして、いきなり正装させられ、車に押し込まれた。

ムスっとしてる私に

「美人が台無しだぞ?笑っとけ」

「無理よ!兄さん、だんだんお父さんに似てきたんじゃない?やり方すっごい似てきてるよ!」

「親子だからなー」

悪びれることなく、しれっと言う姿は父そのものだった。
親子だね、ほんと。

しかし、何処に連れて行く気なんだろう?