とぼとぼ帰り着いた我が家。

すでに三和土にはじいさまの革靴と、
明良のでかいローファーが並んでいた。

短い廊下の先のリビングにも、
ドアのすりガラスを透かして、
明かりが見える。


「ただいま」


ずるずる脚を引き摺る心地で、でも軽いトーンで云う。

じいさまのいる場所で、理由も説明できない憂鬱なんてさらせない。

一年前の『あのとき』決めた、自分ルールだ。