「……」


とろとろと、眠りにたゆたう。


「……き」


うす温かい場所に、自分の心を浮かべる。

まどろみは、優しい。

【現実】なんかよりも、ずっと、心地いい。

このままゆらり揺られ続けたい。

そんな、あたしを。


「明姫! 起きろ」


叩き起こしたのは、樹也の怒鳴り声だった。