その、あたしだけの場所で。

あたしは膝を抱えて、
その間に顔をうずめた。

ふわふわ浮き上がった細かい埃が、うなだれたあたしを包み込む。


――油断して、
ゆるんだ腹に効果的に叩き込まれた、
ジャブみたいだった。


「なに、逃げてんのよ、あたし……」


ろくでもないところで発揮されたスピード感に、さらに打撃。

我ながら、
自縄自縛の逃げっぷりだ。

こんなところばかり、
反応が早くても意味がない。


「だって、見たくなかった」


やっぱり、ダメだ。

明良を見るたびに、
明良が他の子と一緒にいるたびに、
なんであたしじゃないんだろうって思う。

あたしじゃない子を隣りに置くなんて、許せないって思う。

そう感じるのが当たり前みたいに、胸に落ちる。