「学校だそうだ」


マグカップを差し出しながら
じいさまが云う。

マグカップの中身は、じいさまが最近凝っているカフェラテ。

衝動買いしたミルクフォーマーを、
じいさまはこれでもかこれでもかと、
使い倒している。

ミルクフォーマーも、フォーマー冥利に尽きる勢いだ。


「生徒会の仕事だと。せわしいな」


アースカラーのマグカップを手に、じいさまも食卓につく。


「じいさま、仕事は?」

「午後からのアポだ」


低い掠れ声で云う。

カップを口に運ぶじいさまは、身内の贔屓目込ながら、なかなか渋い。


じいさまはそもそも、
『じいさま』と呼ぶのが申し訳ないほど、若いひとだ。

じいさまが父さんの父親になったのが、二十歳。

父さんが『父さん』になったのに至っては、十八歳。

荘野家は、若年婚の見本のような家系だと思う。