樹也少年は、
上体を折り畳むようにして
足許の紙パックを拾いあげた。

キュートなピンクのパックの裏側。

細かい字で印刷された成分表示を凝視しながら、
口を開く。


「あんた、誰?」


尖った唇に相応の
ちょっとトゲのある口調。

あたしは
あたしを置き去りにしやがったなぎを、恨んだ。


「……1―4の、荘野(しょうの)、です……」


アホみたいに素直に答えた声は、
我ながらかすかに震えている。


なぎのバカ。

なぎのバカ。

なぎのバカ。


百回繰り返したら
怒って戻って来ないかな。

かなり本気で、期待した。