「でも、『好き』なんでしょ?」

「『好き』、じゃない」


うっとうしい髪を払って
なんでもわかっているみたいに
うっすら笑うなぎを、にらむ。


「明良は、この世でたったひとりの、あたしの片割れ」


――だから、あたしのものであるべき生き物。


あたしのことだけを考えて

あたしのことだけを想い

あたしだけを守ってくれなきゃ
赦さない。


そんなの、誰が見たって身勝手な思い込み。

あたしの内側にある感情は
それだけ。

見苦しくて、醜い。