『ばいばい、明良』


彼女の、はかない言葉。

返せなかった応えを、こころのなかで紡ぐ。


――いいよ、明姫。

明姫が希むなら、
俺は、明姫の前から消える。

明姫が『しあわせ』なら、
俺は、ぜんぜん――『いい』。



その強がりがどんな風に作用するのか。

そのときの俺はなんにも、わかっていなかった。


彼女と――なによりも俺自身が、どんな風にひしゃげていくか、なんて。