「明姫(あき)」 そう呼ばれるのが、 好きだった。 大好きなのは、 息をするよりも自然なこと。 そんな風に思っていた、 無邪気でバカだったときから。 素直な感情なんて、 口がさけても吐き出せない お利口さんになった、 いまこの瞬間も。 明良(あきら)の あたしの名前を呼ぶ声が あたしは本当に心底、 それこそその声を聴きながら死ぬのが夢だなんて夢想するくらい 本気で本能で、 ……いとおしいんだ。