ファーストコンタクトは、学食横の自販機の前。


放課後の、どこか間延びしたような空気のなか。

そのときの俺は、バカみたいな数の紙パックを、両手に抱えていた。

生徒会一年部恒例、じゃんけん買い出し。

貴子に最後に競り負けた俺は、いちいち違う銘柄が書かれたポストイット片手に、学食に走るハメになったのだ。


「貴子のヤロ、絶対にワザとだよな……」


勝ったチョキの手をかざして、高笑いする美人ヅラを思い出して、歯噛みする。

ヤツは、絶対にじゃんけんなんか完全制覇できるにも関わらず、俺を嘲笑うために負け残っているんじゃないか。

澄ましたカオで、放課後売り切れ率の高いレモンティを頼むあたり、ついつい裏を探ってしまう。

貴子は――俺の『カノジョ』であるところの美少女は、多分にそういうところがある。