秘/恋




あたしを見つめる都倉貴子サンは、綺麗だった。

たぶん、他のことならあたしはうなずいていた。

綺麗って云うのは、姿かたちだけのものじゃない。


突き抜けているから、綺麗。

揺らがないから、綺麗。

意志が透徹してるから、綺麗。

こんな綺麗なひとに、あたしが敵うわけがないんだから。


――だけど。


「……」


だけど。

これだけは。


「い……」


プルルルルって。

ポケットのなかで響いた電子音が、あたしの声を断ち切る。

次に、空気を割ったのは、ドアのノック。


「二年の荘野明姫、います?」


聞きなれた声が、あたしを呼んだ。