頬を、ぬるい水滴が伝っていく。 風呂上がり。 濡れた髪を吹きながら、ベットに座り込む。 薄い壁いちまい隔てた隣りから聴こえる、物音。 壁に漉されて、細かくひび割れたCDの音。 その音のなかから、いつの間にか必死で、他の気配を拾おうとするあたしがいる。 「明良……」 つぶやいて、うつむく。 あたしは今日も、眠れない。