「早くしろ」

ギロッと鋭い目付きで不機嫌そうに催促のお言葉が。

「かしこまりましたっ」


私は仕方無くパンとコーヒーを準備しにキッチンへと走る。
そして素早く準備。
王様のご機嫌を損ねないように。


「ど、どうぞ、ではごゆっくり……」

朝永さんの前にすぐに朝食を並べ終え、会社に行こうと上半身を捻ったところだった。

身体が動かなくなった。
振り返ると朝永さんが私の手首を掴んでいた。

「早く行く必要あるわけ?」

朝永さんが私をじっと見ている。

此所からなら八時十五分に出れば余裕で会社に着くだろう。

だが慣れない会話と手首の温もり。