「え?」

「俺の携帯の番号。覚えとけ」

「覚えとけって……いきなり、言われても、無理です……」

「やっぱバカだな、お前。裸足で飛び出すし」

楽しそうな声で返ってきた。

「バカって、ひどいっ」

すると足が漸く地面に着いた。
そこはお風呂場。
でも私は驚いたまま。

「足、洗え」

だって目の前の朝永さんは優しく目尻を下げている。
会社で見せる甘い顔みたいに。

「俺に洗って欲しいのか?」

呆然としている私に言った。
いつの間にか意地悪そうな顔で片方の口角を上げていた朝永さん。

その顔に嫌な予感。

「それなら全部脱「自分でやります!」

最後まで聞く前に言いたいことが分かってしまった私は遮って叫んだ。