私は急いで携帯を取り出す。
時刻は二十三時に近くなっていた。
私は電話を掛けようとした。
が、ロックを解錠する画面で硬直した。

朝永さんの番号、知らない……。


『ザァーーーーー!』


その時、壁やベランダに打ち付ける先程よりも激しい雨の音が耳に届いてきた。

恐怖心を更に掻き立てる。

心臓は変な音しか出さない。

痛みまで感じる程。

身体は震えまで起こしている。

じっとしていられなくなって、タオルケットを剥がすとソファーから飛び降り、走って玄関を飛び出した。

エレベーターまで走ると、下ボタンを押した。

エレベーターは一階だ。

ゆっくりと上がってくるエレベーターに苛立ちしか覚えない。

早く来て!

未だにボタンを連打している私。