あの日は両親は結婚記念日だった。
私は夫婦水入らずで過ごしておいでと、アルバイトして貯めたお金で二人のためにホテルのレストランのディナーを予約した。
二人は幸せな気持ちで家に帰ってきてくれるはずだった。

だが私の家に鳴り響いた電話が、もう二人には二度と会えないと無残にも告げた。

事故だった。
激しい雨のせいでスリップした車が二人に向かって突っ込んだ。

あの日、私は二人の帰りを待っていた。
二人の感想を聞くために。

私があんな事をしなければ、二人は今も生きていただろう。

激しい雨はそんな私の罪悪感と恐怖を蘇らせる。

朝永さんはまだ帰って来ない。

あの人は酷い人だ。

でも、朝永さんも……このまま帰って来ないとか、しないよね……?