「分かってもらえた?」


やっと唇が離れたら聞こえてきた朝永さんの声。


私は状況が全く掴めない。

頭の処理は追いつかない。

心臓の爆音と、職場でファーストキスをされたという状況に、頭は大パニックを起こしている。


「行くぞ」

私は強引に椅子から立たされる。
すぐに腰に腕が巻きついてきたが、ワケが分からなくて、されるがまま。


「着替えて来い」


その声にハッとすると、いつの間にかロッカールームの前だった。

「会社で、なんてことをっ!」

私は反論しようと口を開こうとした。


「余計なこと喋ったら、クビ」


その言葉にピシッと固まる私。


「さっさと行け。俺を苛々させるなよ。あと俺は用があるから先に帰って飯を作ってろ」

更に続いた言葉に、抵抗したくても従うしかない。