「ありがとう、ございますっ」

私はもう一度お礼を伝えた。

だって朝永さん、すぐに取りに行ってくれた。
寝巻き姿のまま、しかも走って。


「俺は出掛ける。夜まで帰らない。飯も要らない。掃除と洗濯しとけよ」

お礼を伝えたのに、朝永さんはそれには返さずに唐突に言った。
いつもの憎まれ口。

そして私に背を向ける朝永さん。

それから十分後、朝永さんは出て行った。

私は掃除と洗濯に取り掛かった。
すぐに終わった。
だって広い家では無いし。

お風呂に入ってからソファーで横になると、まだ疲れが溜まっていたのか、いつの間にか眠ってしまった。

起きると夕方になっていたが、朝永さんは夜まで帰らないと言っていた。
洗濯を取り込み、自分の夕飯を作り、食べた後はお風呂に入り、出ると夜の九時。

朝永さんはまだ帰っていないよう。

私はとりあえずソファーで横になると、いつの間にか眠っていたようだ。


「起きろ。朝飯」


次の日の朝もその言葉に起こされたから。


「今日も出掛ける。夜まで帰らない。飯も要らない」


その言葉を今日も聞くと思った。