「部屋の隅に置いてあった紙袋、知りませんか!?」

私は朝永さんに駆け寄って質問した。

朝永さんは驚いた顔を作ったが、そんな表情も気にならない。
だって私の宝物が無いのだから。


「捨てた。ゴミだろ」

それなのに朝永さんの口から聞きたくない言葉が出てきた。


「え……?」

私は時が止まったかのように、動けなくなる。

そして数秒後、涙が滝のように溢れてきた。


火事で色んな思い出が燃えた。

あれだけだった。
少し原型を留めていたのは。

もういない、両親との思い出……


私は朝永さんの存在を忘れて、ただただ泣いてしまう。


「待ってろ」