……起きろ……
遠くから、誰かの声がする……
低い声……男の人だ……。
私を起こしてくれる男の人は、しー君だけ。
「何?しー「起きろ」
しー君と呼ぼうとしたら、真近から聞こえただろうクリアな低い声に慌てて目を開けた。
目の前にまた頬杖をついている朝永さんが映り込んで、微睡みでしー君だと思っていた私は驚いて一気に脳は覚醒。
先程とは違い、朝永さんの顔がハッキリ見える。
視界は人工的な明るさじゃない。
朝になったらしい。
「朝飯作れ。腹減った」
そんな事を考えていたら、朝永さんが無表情で言った。
昨日の貴方は少し優しかった、はず……
貴方、寝たら全てを忘れるの?



