つぐみは俺の返事を聞く前にリビングの扉を開けて出て行った。
パタパタと走る足音と、すぐに玄関を開ける音が聞こえてきた。

アイツ、たまに電話掛かってくるよな。

……相手は誰だ。

モヤモヤして、目の前の缶ビールを掴み、グビッと流し込む。

そこに「すいません!」とつぐみが帰って来ると、俺の向かい側に座り、いただきますをしてスプーンを持った。

「お前さ、まだ思い出さないわけ?」

問い掛けるとつぐみは口にスプーンを入れたまま数秒固まった。

その反応に未だに思い出せないんだなと勘づいた。

「……すいません」

つぐみは気まずそうにカレーを見ながら小さな声で謝った。