『もうすぐ大会だから練習しかしてない』
「そっか、頑張ってね。絶対応援に行くから」
しー君はドンくさい私とは正反対で運動神経抜群で、一〇〇メートルは全国三位の記録を持っている。
学生の陸上界では名が知れているようで、そのお陰で高校は特待生で入った。
今はその高校の寮に住んでいる。
『じゃあ一位とるから、つぐみも仕事頑張って』
「しー君、ありがとう……。これで来週もお仕事頑張れる……」
『大袈裟な』
しー君は笑っているけれど、大袈裟じゃないよ。
私達の両親は交通事故に巻き込まれて三年前に他界してしまった。
その時私達にはもう祖父母もいなくて、親戚達は残されたまだ学生だった私としー君をお荷物にしか見ていなかった。
揉め事を起こしたくなかった私は、両親が残してくれた遺産でしー君と生きていくと親戚に宣言し、この三年間、二人で生きてきた。
ドン臭い私とは違って、自慢の弟。
私まで鼻が高くなる。
頑張れる。
私の生きる糧は、しー君なの。
両親が居ない現実。
しー君はまだ高校生。
お金が掛かる現実。
だから朝永さんの奴隷になろうが、私はしー君のために耐えるの。
「そっか、頑張ってね。絶対応援に行くから」
しー君はドンくさい私とは正反対で運動神経抜群で、一〇〇メートルは全国三位の記録を持っている。
学生の陸上界では名が知れているようで、そのお陰で高校は特待生で入った。
今はその高校の寮に住んでいる。
『じゃあ一位とるから、つぐみも仕事頑張って』
「しー君、ありがとう……。これで来週もお仕事頑張れる……」
『大袈裟な』
しー君は笑っているけれど、大袈裟じゃないよ。
私達の両親は交通事故に巻き込まれて三年前に他界してしまった。
その時私達にはもう祖父母もいなくて、親戚達は残されたまだ学生だった私としー君をお荷物にしか見ていなかった。
揉め事を起こしたくなかった私は、両親が残してくれた遺産でしー君と生きていくと親戚に宣言し、この三年間、二人で生きてきた。
ドン臭い私とは違って、自慢の弟。
私まで鼻が高くなる。
頑張れる。
私の生きる糧は、しー君なの。
両親が居ない現実。
しー君はまだ高校生。
お金が掛かる現実。
だから朝永さんの奴隷になろうが、私はしー君のために耐えるの。



