「それ以上言うと怒るけど」

苛立ちから声が低くなると、女の手はピタリと止まった。
それを確認した俺は踵を返すと、同じように踵を返そうとするつぐみが何故かいて。

何処から見てた?

「つぐみ」

名前を呼びながら近付き、つぐみの左手を掴むと目を見開いて振り返った。

「お昼、行こうか」

パタパタと離れて行く走る足音は耳に入らず、目の前のつぐみに笑顔を向ける。

だがつぐみは繋いでいる手を引き抜こうとする。

「もう彼女行きましたよ。私、愛佳ちゃんと社食で待ち合わせしてますから」

目も合わせず拒絶するつぐみに苦しくなったが、繋ぎ止めたくて引き止める言葉を出す。

「さっきのヤツが絡んできたら面倒だから来いよ」

「彼女、走ってっちゃったくらいだから、もう来ないですよ」

だが依然拒むつぐみ。
もう実力行使だ。