今日は会社に着いても、つぐみがちゃんと思い出したかが気になって仕方がなかった。
「ここはこうやって処理するの」
仕事中、パソコンに向かいながら集中していると隣から聞こえてきた高い声に、プツッと糸が切れた。
だって今の声、穂香だ。
穂香の席はつぐみの近くで俺から離れている。
それなのに何で隣に居るんだ?
ちらりと横目で様子を窺うと、穂香は俺の隣の男性社員にピッタリ横にくっついてキーボードを叩いている。
この男は林田。
つぐみと同じで今年入社してきた男。
「すいません、ありがとうございます……」
穂香に見惚れているのか、林田は穂香にうっとりとした視線を向けている。
「林田、分からないことは俺に訊けって言っただろ」
俺はそんな林田に声を飛ばした。
だって林田の教育係は俺だから。



