それから数日後、十月に入った。
少しずつ気温は下がり、肌寒さを感じ始めていた。
俺は部屋着を長袖に変えた。
それなのにつぐみは寒そうな半袖パジャマ。
火事のせいで長袖の服が無いのだろう。

しかも昨日は何故かベッドで寝なかった。
寒いのにアイツは何を考えてるのか分からない。


「今日は冷えるな」

カウンターからキッチンを覗いて台所で掃除をしているつぐみに声を掛けた。

「……そうですね」

つぐみはガスレンジの掃除をしながら返した。

「風呂入んないの?もう十一時。アイスのご褒美要らないのか?」

つぐみは動かしていた手を止めた。

「……今から行きます。アイスは要りません。朝永さんは先に寝て下さい」

今日は寒いからだろう、アイスは拒否された。

「まだ眠くないし、待っててやる」

俺はカウンターに両肘をついて両指を絡ませた上に顎を乗せながらわざと笑顔を作る。
その言葉につぐみは弾かれるように俯いていた顔を上げた。