「……あの、手を繋ぐ必要、あります?」

だが耳に届いたのはオドオドする声と言葉。
それは俺の胸に突き刺し、痛みを伴わせた。


小嶋に近付きたい、でも拒まれたら嫌だから近付きたくない。
矛盾した感情が俺の中にぐるぐる回っていた。

そんな次の日の昼休憩の時だった。


「と、朝永さんっ」

突然小嶋に腕を掴まれた。

「何?」

ドキッと鼓動が跳ねたが、咄嗟にバレないように穂香を騙すために使ってきた笑顔を貼り付けた。

「あのっ、少し、話がっ、お時間、良いですかっ!?」


何故か挙動不審の小嶋にエレベーターの奥の人気の無い廊下へと連れて行かれた。


「な、なんで、私を置いてくれるんですか……?」

どう返そうか、迷った。

穂香から離れるために小嶋を利用した。

それに俺の気持ちはコイツには迷惑だし、言ったところで風呂場みたいに拒否される。