その夜、家に帰ると小嶋は誰かと電話していた。
見たことのない笑顔で。
切った後、声を掛けた。

「飯はどーなってる」

俺を見た瞬間、疲労困憊の顔に変わる。
一秒前までは笑顔だったくせに。

床に座っていた小嶋は立ち上がろうとした。
が、立ち上がる前にフラッと蹌踉めくと小嶋はそのまま床に倒れた。

「小嶋!?」

駆け寄って頬を叩くが反応は無い。
青白い顔をしている。

俺は慌てて抱き上げるとベッドに運んだ。


夜の十二時、ベッドに入ると簡易照明を点けて、頬杖をついて小嶋の顔を覗き込む。

先程よりはマシだな。
もしかして俺のせいで眠れてないのか?

そのとき、目の前の小嶋の瞼が持ち上がった。
「起きた」と溢すと小嶋は大きな瞳を瞬かせた。

「お前、突然倒れた。ちゃんと寝てんのか?」

「私を、運んでくれたんですか……?」