「……行かねぇ」

「私はずっと秋哉が好きなのに」

俺の腕に勝手に触れてきた穂香の手を払うと目を見据えた。

「……じゃあアイツと別れろよ」

「お金も必要だもん」

あっさり言われた。

なんだよ、それ。と、眉を顰めるとクスリと上がる穂香の口角。

「やっぱり秋哉は私が大好きだよね。明日は土曜日。秋哉の好きにして良いよ」

艶やかに誘うルージュ。

俺の腕を滑る、ネイルで彩られている細い指。

速まる胸の鼓動。

俺は何でこんな最低な女が良いのだろう。


それから穂香とは一年ダラダラ関係を続けていた。


「もうすぐ私、プロポーズされると思う」

「は?」

入社三年半にさしかかった夏、ベッドでお互い裸の状態で穂香がまさかの発言をしてきた。