「つぐみと朝永さん、おはよー!」

そこに愛佳ちゃんの声が入ってきた。
私は振り向いて挨拶を返すと私の真横に来た愛佳ちゃんは不気味な程ニヤニヤし始めた。

「朝永さんも挨拶返して下さいよー」

「何でだよ。行くぞ、つぐみ」

そう言って朝永さんは早歩きになる。

私は「え、え、」と愛佳ちゃんを見たまま引き摺られる。

「あー、そんな態度取るんだー」と愛佳ちゃんのわざとらしい声が聞こえてきたかと思ったら、愛佳ちゃんは大きく息を吸い込んだ。


「朝永さんが木曜日、この世の終わりみたいな顔でつぐみの居場所聞きにきたのよー!ちなみにつぐみの好きなところは一緒に居ると落ち着くんだってー!」

愛佳ちゃんは右手を口の横に添えて聞こえるように大声で叫んだ。
周りの人達が何事かと振り返る。


「お前!余計な事言うなよ!」

朝永さんは立ち止まり、焦った様子で愛佳ちゃんへと振り返るが、愛佳ちゃんはニヤリと口角を上げるとまた大きく息を吸い込んだ。


「男のくせにイジイジしてたから、つぐみの事好きなら迎えに行きなさいよって言ってやったのー!朝永さん、つぐみの気持ち教えてあげたんだから、感謝して下さいよー!」

愛佳ちゃんは言い切ったのか、スッキリした顔をすると、立ち止まっている朝永さんの横を颯爽と通って会社へと歩いていった。