朝永さんの家であんな風に泣いて叫んだ記憶は無い。

まさか私が忘れている、あの日の出来事……?

いやでも、朝永さんがあんなこと、言う?

私を好きだから出て行くななんて。

いつもの朝永さんじゃ無かった。

あの朝永さんは変すぎた。


絶対今のは、ただの夢だな。


「おはよ、つぐみ。帰れそう?」

隣から聞こえてきた言葉に大事なことを思い出して慌てて外を見る。
カーテンを閉めているから見えないが、昨日のような激しい雨の音は聞こえない。
携帯を確認すると、雨も落ち着いていて、電車も再開していた。


朝食をしー君の部屋でとり、寮監さんにお礼をし、寮を出た。
朝永さんには先程、夕飯までには帰るとメールを入れた。