バスを乗り継ぎ、なんとかしー君の寮に辿り着いたのだが、


「嘘でしょ……」

寮の玄関で私は携帯に入ったニュースに真っ青になる。

「どうした?」

「私が乗って帰るはずの電車が、雨のせいで止まっちゃった……」

朝永さんの家に帰る手段はその一つだけ。
豪雨のせいで帰れなくなってしまった。

「俺の部屋に泊まれるか訊いてみよう」

まさかの提案に、え。と固まる。

「身内といえど無理でしょ!それに相室の子が居るから迷惑だし!」

しー君の寮は二名で一室だ。

「緊急事態だし、あと都合良く同室のやつは怪我でこの前学校辞めたから」

しー君の学校はスポーツ専門の学校だ。
怪我で動けなくなったら、居られなくなっちゃうなんて……。
考えただけで切なくなった。