「彼氏だって、俺が居るから作ろうともしないんだろ」

確かに考えた事はなかった。
両親が亡くなってからは。
周りがどれだけ色めき立っていようが、私がしー君を支えなければいけないといけなかったから。

でも最近、初めて好きな人が出来たが、その人は水のように掴めない男。

「違うよ。それは私が単純にモテないだけ」

朝永さんを思い出してせいで真顔になると、しー君は真面目な顔を崩し、笑った。

「やっぱり空しい姉」

「し、しー君だって、どうなのよっ!」

「七つ下の俺の方が既に勝ってるだろうな」

しー君は私と違って身長も高いし、運動も出来るし、モテ要素を持ち合わせている。
そんな勝ち誇った顔をされたら何も言い返せない。

「俺を早く安心させてよ、姉さん」

「高校生のくせに何を言ってるのよ!」