「えっ?」
朝永さんのマンションのある駅から出ると、突然手をパッと解放された。
待ちに待っていた。
いたけれど……
「飯は何でも良い。洋食でも、和食でも」
朝と先程までとは一変、聞こえてきたのは昨日のように不機嫌そうな声。
しかも私を見すらしない。
それどころか、私よりも長い脚は先程よりも速度を上げて、既に背中しか見えない。
この人は、何を考えてるの……?
私は朝永さんを理解出来なくて、思わず足を止めた。
すると前を行く朝永さんは私が止まった事に気付いたのか、足を止めた。
「聞こえてんのか?」
少しだけ振り返った横顔は、不機嫌そうな鋭い眼光が見えて。
怖くて私は肩を竦める。
あの甘ったるすぎた、朝永さんは、何処に行ったの……?



