でも待っているわけがない。
昼休憩は接触すらしてこなかったし、昨日はあの理不尽さだ。
どうせ朝は寝ぼけてたのだと再び考えながら着替え終わった私は、愛佳ちゃんと更衣室の扉を何も考えずに開けた。


「つぐみ、お疲れ」


今の私の顔は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔になっていると思う。

だって朝永さんが本当に私を待っていたから。
しかもまたあの甘ったるい顔で。

これがドラマなら、朝永さんの周りにはキラキラな光の効果が入れられていると思う。

「きゃー!やっぱり居た!」

隣の愛佳ちゃんはやはり大興奮。
そして次の瞬間、愛佳ちゃんの叫び声が廊下に轟くことになる。

朝永さんが私の手を握ったから。


「行くぞ」

私の目をしっかり見て、優しく口の端を上げると微笑んだ朝永さん。

また愛佳ちゃんからは悲鳴のような叫び声。

私はワケが分からなくて、頭の上にはハテナマークが大量に浮かびっぱなしだ。