私はキッチンのシンクの前で唖然としてしまう。
シンクにあった汚れた食器が全部無くなっているから。


『ポンっ』


綺麗なシンクの前で呆けていたら私の頭に大きな手が乗って。
不意に乗っかった手にドキッと心臓が勝手に跳ねたせいで、私は身体を竦めた。


「つぐみ、さっさと寝ろ。俺は風呂」


私の顔を見ずに離れていった手。

既に背中しか見えない。


それだけでも胸は甘く鳴り響く。

グラグラ揺れる、期待しかしない心。


これ以上はヤバイと思った。


だって遊び人だと噂の朝永さんが、私に振り向いてくれることなんて絶対有り得ない。

朝永さんと一緒に居ても、傷付いて泣いている自分の未来しか見えないもの……。