心臓が勝手に速度を増したのを感じると、テーブルに視線をわざと向けた。
朝永さんの前にある水色の箸と、私の前にあるピンク色のペアの箸。

私が特別なんて、自惚れてはいけない。

ペアの箸を見ながら、暴走する心に何度も言い聞かせた。




「さっさと風呂入れ」

食事を終え、シンクに食器を片付けると朝永さんが言った。

「え?」と面食らう私。
だって私からお風呂に入ったことは無い。

「今日のご褒美」

斜め上を見ながら照れた顔で言う朝永さん。

そんな無防備な顔を見せないで。

自惚れるなと言い聞かせる。
既に何度目か分からなくなった。


言われた通り、お風呂に入った。
素直に向かったのは冷静になりたかったから。
平常心に戻った私は髪を乾かすとキッチンに戻る。
食器を洗うためだ。