「つぐみ」


それなのにリビングの扉を開けた瞬間、朝永さんに捕まった。
彼はどうやらキッチンに居たようだ。
どうやらと言ったのは、彼の方を見れないから。

それより私を名前で呼んだ。
この家では『グミ』ってふざけて呼んでいたのに。

なんでこのタイミングで名前を呼ぶの?


「な、何でしょうか……?」

顔を上げれず視線を落としながら返事をすると、朝永さんの大きな足が視界に入り込んできて。

何で近付いて来るの?

朝永さんの行動に心臓が勝手に反応し始める。


「ご褒美やるよ」

ご褒美って?

疑問符を浮かべた時、顎を掴まれ、上を向かされて。

「ふがっ!」

そして今日も強引に口に押し込まれたのは、バニラアイス。

目の前には何故か笑っている顔の朝永さん。