「早く買い物して帰りましょう。私まだ沢山家事残ってますので」

朝永さんが話を終えてくれないから、私から話を強引に終わらせた。




今日も朝永さんはスーパーのカゴにバニラアイスとビールを入れた。
私は必死に平静を装う。

マンションに帰ると家事に専念した。
雑念を振り払いたくて。

夕飯を作り終え、食器を出そうとすると嫌でも帰りの女性の言葉が蘇る。


『やっぱり誰もペアの食器の彼女には勝てないってこと』


朝永さんは毎日出されるペアの食器を見ながら何を思っているのだろう。

今でもこの人に帰ってきて欲しいと思っているのは確かだろうな。

だって別れてもずっと捨てずに使っているのだから。