課長は昔の朝永さんは好青年だったと言った。

彼女の話は間違いでは無いと思う。

彼女は私が傷付かないように親切で教えてくれた。

朝永さんのことは分からないことだらけ。

でも一つ確かになったのは、朝永さんには忘れられない女性がいるということ。




「つぐみ、帰ろ」

それなのに今日も甘い顔でロッカールーム前で待っていた朝永さん。

その顔に胸はドキリと甘い反応はしなかった。
代わりにズキリと痛んだ。

いつも通り、朝永さんは私の手を勝手に繋いだ。
私が顔を逸らしたことなんて気にせずに。

電車の中はいつも通り、会話は無い。