私の好きになった朝永さんを心の中で思い浮かべる。
それだけで鼓動は速度を上げる。


「普段は意地悪だから……だから、たまにみせてくれる優しさが、特別に思えちゃって……」

自然と言葉が出てきたが、私の唇は震えていた。
目も変に潤んでいく感覚がする。


「でも本当は、凄く優しい人なんです……。不器用だから、伝えるのが苦手なだけ……」

悪態をつきながらも服を買ってくれたり、アイスをくれたり、間違えて捨てた真っ黒なアルバムだって息を切らせて取りに行ってくれた。

私は顔を上げる。

目を見開いている朝永さんと視線が絡まると鼓動は更に速さを増す。
今から言おうとしている言葉に反応して。

背中に添えられたままの手に私の鼓動が伝わってしまっているかもしれない。


「だから、そんな不器用なところが、好きなんです……」

昨日気付いたばかりの気持ち。

演技をせずに私は自分の気持ちを曝け出した。