「俺は社食だけど、お前はどうする？」

首を少し傾げて私に訊ねる朝永さん。

無表情で感情は読めない。

でも手は未だ繋がれたまま。


朝永さんは私を奴隷として欲しいだけ。

家事をやらせるために置いておきたいだけ。

でも朝永さんは何故か私がお昼はお弁当を作ってきているのを知っている。

私は朝永さんがいつも何処で食べているかも知らないのに、朝永さんは私がお弁当を愛佳ちゃんと社食で食べている事も知っている。

それに社食へ行くのに、社食へのエレベーターを通り過ぎ、オフィス前まで私をわざわざ連れていってくれた。


「朝永さんと、一緒に食べたいです……」

些細な事に、胸を熱くさせている私が馬鹿なのだろうか？


「良いよ」

演じている甘い顔に、期待してしまう私が馬鹿なのだろうか？