心臓が激しい音を出している。

それは鼓膜まで響くほど。

こんな心臓の音、初めて聞いた。

脳を痺れさすような、激しい音。


私、このまま、この人の餌になるーーーー




『パッ』




構えていたら電気がついて。
それと同時に腕の圧迫感も消えた。


「流石にチンチクリンなガキに欲情はしねえ。俺だって女選ぶわ」


明るくなって現れた目の前の朝永さんは私をバカにしたように鼻で笑っていて。

すると朝永さんは踵を返して廊下をスタスタ歩き出した。

かと思ったらピタリと止まる。


「この寝室には入るな」

止まった横のドアを指差した。
そこが寝室なのね。


「早く来い。説明してるだろーが」

鋭い眼光を玄関に立ち尽くして居る私に見せながら低い声で言った。