「……何でもない」

ぱっと横を向いてしまって、朝永さんの顔が見えなくなった。

どうしたの?


『ゴロゴロ……』


そこに遠くから不穏な雷鳴音が聞こえてきた。

雷に大雨……もしかしたらあの雨の日、私が取り乱したから訊いたの?


「朝永さんが居るから大丈夫です」

朝永さんの優しさにじーんとしながら、私は彼に心配を掛けまいと返す。

朝永さん、私に心を開いてくれ始めたのかな?
だからこんなにも優しくなったのかな?

また私はニヤニヤしてしまうとバチっと朝永さんと目があった。