「ちょっと待ってて。寄りたいから」

朝永さんはタクシーの運転手に言葉を投げた。

「食えれば何でも良い。冷蔵庫は空っぽだから」

その後すぐに開いた扉からそう言いながらタクシーを降りた朝永さん。

降りざるをえない私はモヤモヤしながらもそれに続いてタクシーを降りた。


奴隷って、何……?
もう奴隷解放宣言された現代じゃ聞かない単語でしょ……?
このままついて行ったら私はどうなるの……?

絶対に、変なこと、考えてるよね……?

だって朝永さんはキリっとした二重の目、形の良い唇、一八〇センチくらいありそうな身長、身長の半分はありそうな長い脚、芸能人並みに整いすぎている顔と身体を武器にして、女性に手を出しまくっていることで社内では有名で。

だからそんな彼が私は生理的にも人間的にも苦手で、自分から近寄ることをしなかった。


そんな彼の奴隷……?

絶対にヤバいことになるのは明白!

どうにかしてこの状況から脱出しないと!!